日中の眠気を対策するには、まずは敵を知る必要があります。
眠くなる原因は何なのか?
眠くなる原理がわかれば対策もしやすくなります。
できるだけわかりやすく解説しますので、眠気対策をするまえに眠くなる原理を知ることから始めましょう!
2つの原理で人は眠くなる
人が1日の中で眠たくなる原理は大きくわけて「体内時計」と「脳内物質の分泌量」の2つがあります。
それではそれぞれの眠気の原理をみていきましょう!
眠くなる原理① 体内時計(サーカディアンリズム)
体内時計とは空想上のものではなく、ほぼすべての生物が持っていると言われています。
例えば、目が覚めやすい時間、眠たくなりやすい時間、お腹が空く時間、トイレに行きたくなる時間、体温が上がる時間など、1日の中である一定のリズムがあります。
この24時間周期のリズムのことを「サーカディアンリズム(概日リズム)」といいます。
眠気や食欲、体温やホルモンの分泌など、様々な点でこのリズムの影響を受けています。
では、眠気のサーカディアンリズムはどのようになっているのでしょうか?
睡眠ホルモン「メラトニン」の概日リズム
睡眠のサーカディアンリズムは、簡単に説明すると次のようになります。
朝太陽の光を浴びてから14~16時間後にメラトニンという睡眠ホルモンが分泌されだします。
メラトニンが分泌されると脳は体に対して「夜になったよ!」という合図を送り、体は睡眠の準備に入ります。
その後2~3時間で一気に分泌量が増えて眠気のピークがくるようになっています。
例えば毎朝6時に起きる場合は、夜11時頃には自然と眠たくなります。
メラトニンは夜にたくさん分泌され、夜から朝にかけて減少していきます。
明け方に太陽の光が目を通して脳に入ってくると、メラトニンの分泌は止まり、脳は体に「夜は終わったよ!」という合図を出します。
すると体は日中に活動的に動けるように準備を始めます。
そしてまた、14~16時間後にメラトニンの分泌が始まり睡眠の準備に入る…という睡眠サイクルが私たちの体の中にはあります。
ストレスホルモン「コルチゾール」の凱日リズム
メラトニンとは別に、コルチゾールという脳内ホルモンも睡眠に大きく関係しています。
コルチゾールはストレスホルモンと呼ばれるので良い印象を持っていない方もいますが、正確にはストレス対策ホルモンです。
コルチゾールが分泌されることで日中のストレスに対応して活動的に動けるようになります。
コルチゾールにもサーカディアンリズムがあり、活動的に動けるように朝から昼にかけて増加し、昼から夜にかけて減少していきます。
ただ、日中にストレスを受けすぎたり、夜間に明るい光を浴びるとコルチゾールのリズムがくるって不眠の原因にもなります。
「コルチゾールの分泌が減らない=ストレスを抱えてリラックスできていない状態」ということなので、しっかりと眠るためにはストレスケアは避けることができません。
体温変化の概日リズム
体温は睡眠と深い関係を持っています。
体温が下がると眠気を感じ、深い睡眠に入ることができます。
そんな睡眠と関係のある体温にも概日リズムがあります。
日中に活発に動けるように朝から夜にかけて体温は上昇します。
そして夜8~9時頃から夜12時頃にかけてグン!と下がり休息モードに入ります。
夜に眠たくなるのはメラトニンの分泌や体温の低下が影響しています。
眠気と覚醒の概日リズム
このように人の体内にはあらかじめ睡眠サイクルが設定されています。
そして1日の中で眠気を感じるピークが2回あります。
1番大きな眠気は夜中2時~4時頃に訪れます。
そして2番目に大きな眠気は14時~16時頃です。
お昼ご飯の後に眠たくなった経験はあなたにもあるのではないでしょうか?
お昼ご飯が原因の場合もありますが、人はお昼ご飯を食べなくても14時頃は体内時計で眠たくなるようにできています。
眠くなる原理② 睡眠物質の分泌量
眠くなる大きな原因は体内時計だけではありません。
2つ目の眠くなる要素は「アデノシン」と呼ばれる睡眠物質です。
アデノシンは分泌されると脳の「受容体」と呼ばれる睡眠ホルモンの量を測定する部分にくっつきます。
受容体はアデノシンの量が一定量を超えると脳に眠気を促すように指示を出します。
日中活発に活動したい人にとって厄介なのが、アデノシンは起きている間は無条件で増え続ける特徴があります。
アデノシンを減らすためには睡眠をとるしか方法がありません。
日中にたまったアデノシンをクリアにするためには約8時間の睡眠が必要だと言われています。
そのため、普段6時間くらいしか眠れていない人はアデノシンが残っている状態で一日をスタートしなければならず、雪だるま式にパフォーマンスが落ちていきます。
日本人の平均睡眠時間は世界でもトップレベルに短いので、毎日8時間の睡眠をとれている人は少ないかと思います。
お昼に仮眠をとるだけでもアデノシンの量は減らすことができるので、是非とりいれていみてください。
-
【NASA実証】最適な仮眠は何分?脳機能を高める仮眠の仕方とは?
続きを見る
-
コーヒーで眠気が覚めない!カフェインの上手なとり方とは?
続きを見る
2つの原理はバラバラに働いている
紹介した2つの原理は、一見協力し合っているようにも見えますが、それぞれがバラバラに働いています。
例えばあなたにも、徹夜をしたのに眠気を通り越して目がさえた経験はありませんか?
これは、アデノシンは起きている間は増え続けますが、メラトニンは明け方にかけて減少するようにできているからです。
ただ、この2つはお互いを干渉することがあります。
お昼にアデノシンが溜まって眠気がきたときに、ガッツリと昼寝をしてしまうと体内時計が狂って夜になっても眠気がこなくなります。
また、先ほどの徹夜の例でいうとアデノシンが溜まっているのに明け方にメラトニンが減少して目がさえてしまうと、アデノシンがドンドン溜まって脳のパフォーマンスが落ちてしまいます。
眠気を対策したり睡眠を改善したい場合は、干渉しあわないようにそれぞれを上手にコントロールする必要があります。
眠くなる原理まとめ
今回は眠たくなる原理についてご紹介してきました。
夜になるとメラトニンの分泌が増えて体温も低下するために眠たくなる。
日中はアデノシンの増加と体内時計によって自然と眠気がでてくる。
ただ、これはあくまでも眠たくなる原理原則であり、日中の食事や行動によって思わぬところで眠気が出ることがあります。
例えば、お昼ご飯にカレーを食べると体温が一時的に上がります。
そして体温が下がるタイミングでフワッと眠気が訪れて午後のパフォーマンスが落ちてしまうなんてこともありえます。
日中に眠気をコントロールする方法については別記事で今後ご紹介していければと思います。
タケラボでは心理学や脳科学を使った生活に役立つ情報を中心に発信しています。
よければ他の記事もご覧ください♪