アスリートが本番前に音楽を聴いて集中力を高めるという話は聞いたことがあるのではないでしょうか?
音楽には脳を活性化させてパフォーマンスを高める効果があるといくつもの研究で報告されています。
ただ、集中力を高める音楽とはいっても、状況によって使い分けなければ逆に集中力を落とす原因にもなります。
今回は状況別に集中力を高める音楽についてご紹介します。
Youtubeで聴けるおすすめの音楽も一部紹介していますので参考にしてみてください。
状況別!集中力を高める音楽
運動・スポーツのパフォーマンスをアップさせる音楽
マラソン金メダリストの高橋尚子選手や、スキーハーフパイプ金メダリストのキャシー・シャープ選手などが集中力を高めるために音楽を聴いているのは有名な話です。
運動とスポーツに関する心理学の専門家であるジャスミン氏によると、音楽を聴きながら運動を行うと約10%もパフォーマンスが向上すると発言しています。
またイギリスのシェフィールド・ハラム大学の心理学者がおこなった研究によると、音楽が運動のパフォーマンスに与える影響について次のように発表しています。
リズミカルな動きを伴う競技では、安定したビートを持つ音楽がパフォーマンスを上げる傾向にある。
音楽の安定したビートが、呼吸速度、脳波などに良い影響を与える。
テンポについては、120~150くらいの音楽が運動能力をピークにする傾向がある。
ただ、テンポ以外にも個人の音楽の好みもパフォーマンスに影響を与えている。
他にも、速いテンポの曲を聴いた後は握力が上がった(1996)、テンポの速い曲を聴くと60m走のタイムが向上した(1995)など、テンポの速い曲が運動能力を高めるといった研究報告がいくつもあります。
また好きな曲には快楽物質であるドーパミンの分泌を促し疲れにくくなることもわかっています。
運動やスポーツ時にパフォーマンスを発揮したい場合には、運動前か運動中にテンポが120~150ほどの好きな曲がおすすめです。
仕事・勉強の集中力を高める音楽
私のまわりでも仕事や勉強中に好きな音楽を聴いている人は多いですが、これはNGです。
頭を使う作業をするときに好きな音楽を聴くと、そちらに意識がひっぱられてしまい集中力が低下する原因になります。
運動のところでもお伝えしたように、好きな曲にはやる気やモチベーションを高めるドーパミンを分泌させる効果があります。
ドーパミンが分泌されると脳のワーキングメモリという部分が活性化されて集中力や記憶力が上がります。
ただ、ドーパミンによる集中力は持続時間が短い傾向にあります。
勉強や仕事のように長時間集中して作業を行いたい場合は、モチベーションを保ちながら作業をするのではなく、どちらかというとリラックスした状態を作ることが大切です。
リラックスした集中を利用する
まず、リラックスと集中は真逆のように感じるかもしれませんが、人は心が安定してリラックスすると、不安や心配事をあまり考えなくなるので目の前のことに集中しやすくなります。
例えば、ゲームをしているといつの間にかすごく時間が経っていたという経験はありませんか?
ゲームは常に緊張している状態ではなく、どちらかというとリラックスした状態でするケースがほとんどです。
適度な緊張がもたらす集中力が短時間向けなのに対して、リラックスした集中は長時間集中したいときに適しています。
またリラックスした状態になると脳でα波(アルファー波)が出ます。
α波が出ている状態になると、集中力、記憶力、創造力が高まると言われており、勉強や仕事をするには最適な状態です。
つまり仕事や勉強中に集中力を高めるなら、α波が出る音楽を聴けば良いということです。
α波が出るおすすめの音楽
α波を出すには「1/fゆらぎ」を含む音楽を聴くのがお勧めです。
1/fゆらぎにはα波を出してリラックスした状態にする効果と、気になる騒音や雑音を消すマスキング効果によって集中力を高めることがわかっています。
1/fゆらぎとは、例えば波の音や雨の音など自然に多く存在する音です。
※1/fゆらぎについての詳細は別記事「「1/f ゆらぎ」とは?たったこれだけで睡眠の質が上がる!」をご覧ください。
「1/fゆらぎ」は自然音以外にも音楽に含まれていることがあります。
クラシックだとモーツアルトなどが有名です。
歌付きの音楽でも含まれているものはたくさんありますが、仕事や勉強中は歌付きの音楽はNGです。
好きな曲と同様に、気づけば歌詞の意味を考えてしまったりと集中力を低下させる原因になります。
仕事や勉強中に聴く音楽はクラシックやジャズ、自然音がおすすめです。
YouTubeで聴ける集中力を高める音楽
YouTubeで聴ける「1/fゆらぎ」を含む自然音を「【睡眠音楽おすすめ】自律神経を整えて快眠に導く「1/fゆらぎ」特集!」でまとめています。
睡眠音楽となっていますが、勉強中や仕事中にもつかえるので活用してみてください。
集中力を高める音楽まとめ
集中力を高める音楽とは一言にいっても、状況によって音楽を使い分ける必要があります。
長時間作業に集中したいときはリラックスに意識を向け、スポーツやプレゼンなど短時間集中したい状況においてはテンポが速めの音楽を聴いておくとよいでしょう。
ここまで音楽と集中力について紹介してきましたが、正直なところまだまだ科学的な根拠が少ないのが現状です。
ただ、音楽によってパフォーマンスがあがったという研究結果があるのも現実なので、実際に試してみてあなたにあったお気に入りのBGM選びの参考になれば幸いです。