「ドーパミンという言葉はきいたことがあるけど一体なに?」という方は多いのではないでしょうか?
ドーパミンは私たちの人生を豊かにしてくれるとても大切な脳内物質です。
ただ、辞書で調べても難しい用語が並んでいるので理解するのが難しいかと思います。
この記事ではドーパミンの基礎知識から活用法まで、できるだけ簡単に説明していきます。
読み終える頃にはドーパミンのメリットや注意点、上手な使い方まで理解できて生活に役立てることができます。
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ドーパミンとは簡単にいうと何?
別記事「神経伝達物質とは簡単にいうと何?」で紹介していますが、私たちが「喜び、悲しみ、怒り、不安、恐怖」などの感情を抱くのは、脳内で神経伝達物質といわれるものが分泌されるからです。
いきなり神経伝達物質と聞くと難しく感じるかもしれないので、ここでは「感情は神経伝達物質によって作られる」と思っていただければ大丈夫です。
今回ご紹介するドーパミンも神経伝達物質の一つであり、別名「幸せホルモン」と呼ばれているほど私たちの幸福に深く関係しています。
それではドーパミンにはどのような効果があるのか見ていきましょう!
ドーパミンの効果とは?
脳内でドーパミンが分泌されると次のような効果があります。
①快感、達成感、幸せな気持ちになる。
先ほども紹介したように、ドーパミンは別名「幸せホルモン」と呼ばれています。
- ずっと欲しかったものが買えた!
- 大好きな人と恋愛がうまくいった!
- 目標を達成できた!
上記のような出来事があると「やったー!」とテンションが上がって幸せな気持ちになりますよね。
このように私たちが幸せや快感を感じているときにドーパミンは分泌されています。
言い換えればドーパミンが分泌されることで私たちは幸せを感じることができます。
「幸せはいったいどこにあるんだろう?」の答えは、味気ないですが「あなたの脳の中」ということになります。
つまり、「幸せになる方法=ドーパミンをコントロールする方法」ということです。
②やる気、モチベーションアップ
ドーパミンには、やる気とモチベーションを高める効果もあります。
ドーパミンによって幸せを感じると、脳は「もう一度幸せを感じたい!」と思います。
しかし脳は飽き性なので、前と同じ出来事ではドーパミンの分泌量が減って大きな幸せを感じることができません。
しかも脳は欲張りなので諦めることはせず、あなたのやる気やモチベーションを高めて幸せな出来事を持ってくるように促してきます。
仕事でいうと「ボーナスを出すから前よりもっと大きな契約をとってくるんだぞ!」といった感じです(^^;)
なんだか脳が悪者のような言い方になってしまいましたが、脳の欲張りな性質を利用することで自己成長を加速させることができます。
これについては後ほど活用法のところで説明します。
③認知機能が上がる
ドーパミンは脳内の「ワーキングメモリ」と言われる部分にも深く関係しています。
ここでは詳しくは説明しませんが、ドーパミンによりワーキングメモリが活性化すると情報処理能力や集中力、注意力が高まります。
さらにドーパミンは脳内の「海馬」といわれる部分にも関係しています。
海馬は学習や記憶をつかさどる役割があるので、ドーパミンが分泌されると記憶力があがり物覚えがよくなります。
つまりドーパミンが分泌されることで集中力や記憶力、注意力、思考力などの認知機能が上がります。
認知機能が上がると頭の働きが良くなって仕事や勉強の効率も上がります。
ドーパミンの効果まとめ
ドーパミンの効果についてポイントをまとめておきます。
ポイント
- ドーパミンが脳内で分泌すると幸せな気持ちになる
- 再び幸せを求めて「やる気」が上がる
- 脳が活性化して集中力や記憶力、注意力や判断力など認知機能が高まる。
このようにドーパミンが分泌されると幸せを感じる以外にも、頭の働きを高める効果もあります。
ただ、ドーパミンが分泌されれば頭も良くなるし、幸せにもなれる!
とにかくドーパミンをたくさん分泌して最高の人生を送りましょう!
…とは残念ながら言えません。
ここまでドーパミンのメリットについて紹介してきましたが、ドーパミンは出しすぎると良くない方向に働きます。
ドーパミンが過剰分泌すると…
依存症
ドーパミンが過剰に分泌されると依存症のリスクが高まります。
依存症と聞くとギャンブルやタバコ、アルコールなどを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
こうした依存症の裏にはドーパミンが深く関係しています。
タバコを例にすると、タバコはドーパミンを強制的に分泌させます。
すると『タバコ=快感』と脳が覚えてしまい、再び快感を得るためにタバコが吸いたくなります。
しかも同じ刺激だとドーパミンの分泌量が減るので、前よりも大きな快感を得るためにタバコの本数が増えます。
これを繰り返すことで、食事をしていても、好きな人とデートをしていてもタバコのことばかりが気になり、タバコに依存した生活になってしまいます。
「タバコやアルコールとは無縁だから大丈夫!」と思っている人も注意が必要です。
身近な例でいうと、人の悪口も依存症の一種です。
余談ですが、悪口は依存症だけではなく他にも脳にとって良くないことがわかっています。
これについては別記事「悪口でストレス発散は嘘?脳科学でわかった悪口を言わない方が良い理由」をご覧ください。
統合失調症
ドーパミンが過剰に分泌されると統合失調症のリスクも高まると言われています。
統合失調症の症状としては、幻聴や被害妄想などがあげられます。
ドーパミンが不足すると…
ドーパミンが過剰分泌されると依存症と総合失調症のリスクが高まります。
逆にドーパミンが足りないとどうなるのでしょうか?
ドーパミンには機械でいうオイルの役割があり、私たちの運動機能にも深く関わっています。
ドーパミンが不足すると体をスムーズに動かせなくなり、震えや痺れ、歩行障害など、パーキンソン病のリスクが高まります。
このようにドーパミンは、多くても少なくても良くありません。
ドーパミンの素晴らしい効果を得るためには、分泌量をコントロールする必要があります。
ドーパミンの分泌を調整する方法
ここではドーパミンの効果を得るために、分泌量を調整する方法について紹介します。
①幸福ホルモン「セロトニン」を分泌させる
セロトニンはドーパミンと同様に幸福系の神経伝達物質の一つです。
セロトニンについては「幸せホルモン【セロトニンとは?】どこよりも簡単に効果を解説!」で紹介しているので詳しい説明は省きます。
セロトニンはドーパミンやノルアドレナリンの調整役と呼ばれていて、神経伝達物質の暴走をコントロールする役割があります。
セロトニンがしっかりと働くことで、ドーパミンが正常に分泌されて私たちの生活に良い影響を与えてくれます。
セロトニンを分泌させる方法については「セロトニンを増やすには?簡単にできるセロトニン分泌を促進する方法!」をご覧ください。
②ドーパミンの栄養を摂り入れる
セロトニンでドーパミンの分泌量を調整しようとしたり、この後紹介するドーパミンの活用法を実践しようとしても、ドーパミンの元となる栄養が足りなければ十分に分泌することができません。
①ドーパミンの分泌を促進するチロシン
肉、牛乳、アーモンド、鰹節などに多く含まれている「チロシン」というアミノ酸をしっかりと摂るとドーパミンの分泌が促進されます。
②ドーパミンの材料が含まれているムクナ豆
先ほど紹介したチロシンは、ドーパという成分に変換されてドーパミンを分泌します。
「ムクナ豆」にはドーパミンの材料となるドーパそのものが含まれているため、ドーパミンの分泌がスムーズに行えます。
ドーパを含むムクナ豆のサプリはAmazonや楽天でも購入できるので、おすすめのサプリを1つ紹介しておきます。
ドーパミンの出し方と活用法
ドーパミンの出し方と活用法はたくさんありますが、今回は「ドーパミンの強化学習」と呼ばれる自己成長を促す方法を紹介します。
別記事「目標設定の重要性を科学的に解説」でも書いていますが、目標設定にはドーパミンの分泌を促す働きがあります。
目標設定とドーパミンを上手く使うことで楽しみながら自己成長する方法が「強化学習」です。
強化学習の仕組みは次の図のようになっています。
ドーパミンは目標を設定しているときと目標を達成したときに多く分泌されます。
できなかったことができたり、仕事で何かを達成したりするとドーパミンが分泌されて「やった!」という気持ちになります。
すると脳内ではその行動と快感が結びついて、再び快感を得られるようにモチベーション上げて行動を促してきます。
しかも脳は飽きやすい性質があるので、前回と同じ刺激ではドーパミンの分泌量が減ってしまいます。
そのため2回目の行動は前よりも大きな快感が得られるように工夫するようになります。
その結果、再び大きな快感を感じて3回目、4回目、5回目…と工夫を重ねながら繰り返します。
何度も工夫を重ねるわけですから、自然と多くのことを学習して自己成長に繋がります。
ドーパミンの「強化学習」を上手く利用することで、仕事や勉強など様々な場面でモチベーションを保ちながら自己成長を促進してくれます。
ドーパミンの出し方についてもっと知りたい場合や別記事「ドーパミンの出し方!脳内ホルモンを分泌させてやる気を上げる方法!をご覧ください。
ドーパミンの簡単なまとめ
今回はドーパミンについて要点を簡単にご紹介してきましたが、もっとドーパミンや神経伝達物質について知りたい場合は次の2冊がお勧めです。
それでは最後に、ドーパミンとは何なのかを簡単にまとめておきます。
ドーパミンまとめ)
<ドーパミンとは>
- 脳内で分泌される神経伝達物質の一つ。
- 別名「幸福ホルモン」とも呼ばれており、私たちの幸せと深く関係している。
<ドーパミンの効果>
- ドーパミンが脳内で分泌すると幸せな気持ちになる
- 再び幸せを求めて「やる気」が上がる
- 脳が活性化して集中力や記憶力、注意力や判断力など認知機能が高まる。
ドーパミンが分泌されると幸せを感じる以外にも、頭の働きを高める効果もある。
<ドーパミンのリスク>
- 過剰分泌すると依存症と統合失調症のリスクが上がる。
- 不足するとパーキンソン病のリスクが上がる。
ドーパミンの嬉しい効果を得るには分泌量のバランスが大切。
<ドーパミンの分泌をコントロール>
- セロトニンを分泌させるとドーパミンの暴走を止めてくれる。
- ドーパミンの元となる「チロシン」や「ビタミンB6」を摂る
<ドーパミンの活用法>
目標設定とドーパミンを組み合わせた「強化学習」を使うとモチベーションを維持したまま自己成長ができる。
ドーパミンは私たち人間が幸せに生活する上でなくてはならない物です。
ただ、使い方を間違うと私たちの人生を良くない方向へと加速させることもあります。
今回ご紹介した内容を理解して、あなたの人生にドーパミンを有効活用していただけると幸いです。
使い方さえ間違わなければドーパミンはあなたの人生をより良いものにしてくれます。
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