- 爪を噛んでしまう。
- 身体に力が入ってしまう。
- お酒を毎晩飲んでしまう
- タバコがやめられない。
人それぞれ治したいけど気づけばやってしまう悪い癖や習慣はあるのではないでしょうか?
私は小学生の頃にチック症だと診断されて、長いあいだ悩まされてきました。
20年近くいろんな病院を転々としてきましたが、改善の兆しはなく諦めていた時に出会ったのが「習慣逆転法」です。
チック症の改善率を調べた研究では、習慣逆転法を使うと10週間でチック症の改善率が18.5%から52.5%まで上がったという結果もでている方法です。
どうしてもやめられない癖や習慣がある場合は参考にしてみてください!
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悪い習慣をやめる「習慣逆転法」とは?
習慣逆転法とは簡単にいうと、やめたい癖や習慣を別のものに変えてしまう方法です。
例えば煙草をやめたい場合は、煙草を吸いたくなったらガムを噛むといった感じです。
習慣逆境法はネイハン・H・アズリン博士によって開発された行動修正の方法で、1973年に「神経症やチックを減らす方法(Habit reversal:a method of eliminating nervous habits of tic)」の中で紹介されました。
神経性習慣(爪噛みや貧乏ゆすりなど、いわゆる癖)、チック、吃音症、トゥレット症候群、顎関節症などに有効だという報告が複数されています。
習慣逆転法は効果の高い方法ですが、やり方にはコツが必要ですので合わせてご紹介します。
では早速やり方について見ていきましょう!
①悪い習慣や癖を自覚する
悪い習慣や癖というのは無意識にやってしまっていることが大半です。
習慣逆手法の第一段階は「どのようなときに、なくしたい癖や習慣が起きているのかを知る」です。
- どのような状況で癖が出やすいか
- どのような姿勢のときに癖がでやすいか
- 癖をする直前にどのような感覚があるか
- 一人のときと人前ではどちらが癖がでやすいか
基本的に悪い癖や習慣は、何か引き金(トリガー)となる環境や行動によって発動します。
一般的に人はストレスを感じたときにクセが出やすいです。
私の場合は小学生のときからチック症もちで、今でもストレスを感じると肩をすくめて力を入れる癖があります。
(神経が圧迫されて、手のしびれと肩の痛みで通院するほどヒドイです。)
- 雑務的な仕事をしているとき
- 車を運転しているとき
- 長時間パソコンをしているとき
- 人前でスピーチをするとき
このように少なからずストレスを感じてしまうときや、姿勢が前のめりになると癖の回数が増えていました。
あなたも最初に「悪い習慣や癖が出る状況や環境、タイミングはどんな時か?」ということを書きだしていきましょう。
タイミングがわかれば次のステップへ移ります。
②拮抗反応を利用する
「癖が出やすいタイミングがわかったから、癖がでそうになったら我慢しよう!」と考えると痛い目にあいます。
スタンフォード大学のストレス研究で有名なケリー・マクゴニガルさんの研究によると、ダイエット中の人が食べることを我慢すると1.5倍以上食べたい気持ちが大きくなり、我慢する前に比べて2倍以上食べてしまったという結果がでています。
つまり、いきなりやめようとか、我慢しようとすると余計にやりたい気持ちが大きくなり火に油を注ぐ結果になるということです。
そこで習慣逆転法では、癖が出やすいタイミングがわかれば、いきなりやめたり我慢するのではなく他の行動に置き換えることで悪い習慣を手放していきます。
ただ、「お酒を飲む習慣をやめたい!」と思っている人が「代わりに読書しよう!」と思ってもうまくいきません。
習慣を置き換えるうえで大切なのが、やめたい習慣や癖をしそうになったときに別の行動でそれを妨げることができるかです。
これを拮抗反応と呼びます。
例えば、髪の毛を抜く癖がある場合、癖が出そうなタイミングになると手をギュッ!と握って髪の毛をつかめなくします。
お酒をやめたければノンアルコールに変えるなど、ついやってしまう癖や習慣を同時に行えない行動に変えることが大切です。
あなたの癖や習慣を妨げることができる行動は何なのかを考えてみてください。
そして、癖が出そうになったタイミングで拮抗する行動を2分間続けます。
2分経ってもまだ癖が出そうな場合は、さらにもう2分間待ちます。
これを繰り返すことで、徐々に癖や習慣が置き換わります。
また筋肉の痙攣を伴うチックの場合は、その筋肉と拮抗する筋肉を鍛えると有効だと言われています。
私のように体に力が入ってしまう癖の場合は、拮抗する筋肉を動かす拮抗行動を選ぶと効果的です。
なぜなら筋肉は2つの動作を同時にできないからです。
拮抗行動のポイント
- やめたい癖ができない行動
- 2分以上続けられる行動
- できるだけ周りから目立たない行動
- 筋肉の痙攣を伴うチックの場合は、その筋肉と拮抗する筋肉を鍛える
③リラクゼーションの練習
一般的に癖の多くは怒りや不安、ストレスを感じたときに出やすい傾向にあります。
リラクゼーションは癖のもととなるストレスを軽減することで、衝動を抑えるのに効果的です。
また拮抗反応で悪い習慣から別の習慣に置き換えたあと、別の行動が癖や習慣で残ると困る場合もありますよね。
例えば先ほど例にあげた、髪の毛を抜いてしまう癖から手をギュッと握る癖に変えた場合などもそれにあたります。
普段からリラクゼーションの練習をしてストレスに強くなることで、悪い習慣の衝動を抑えるのはもちろん、拮抗反応で置き換わった行動を減らすのにも効果的です。
リラクゼーションを手軽にできて効果的なのが深呼吸です。
1回あたり20秒ほどの深呼吸を3回繰り返すだけで、自律神経が整いストレスを軽減する効果があります。
深呼吸のやり方
5秒間かけて鼻から息を吸う(腹式呼吸でお腹が膨らんでるのを感じる)
15秒かけて口からゆっくりと息を吐き切る
深呼吸をするときは息を吐く方に意識を集中して、空気を吐き切ることがポイントです。
また、深呼吸や瞑想のようにリラクゼーション効果のある行動も大切ですが、普段からストレスを受け流せる思考も大切です。
タケラボではストレスを抱え込まないための考え方なども紹介していますのでご覧ください。
④偶然性の管理、動機づけ
やめたい癖や習慣があなたにとってどんなデメリットを引き起こすかを書き出します。
また、癖や習慣をやめるとどんなメリットがあるのかも書き出し、いつでも見れる状態にしておきます。
癖や習慣を周りの人に公表して、気づかないうちに癖がでていたら拮抗反応をするように呼び掛けてもらい、癖が出ていなかったら上手くいっていることを教えてもらいます。
ただし、癖をコンプレックスとして感じている人も多いため、癖を指摘されたり、公表することに抵抗を感じる方もいるでしょう。
逆にストレスが増えて癖が悪化する場合もあるので、こちらのステップは専門家に相談しながらした行った方が良いです。
⑤般化の練習
ここではイメージトレーニングを行います。
①で書き出した状況や環境を思い浮かべて、癖の代わりに②で決めた拮抗行動をおこなっていることを想像します。
また、今現在では癖がでていない状況でも、新たに出てくる可能性もあります。
これは実際に私もありましたが、拮抗反応を利用してこれまで癖が出ていた状況をクリアしていくと、別のタイミングで癖が発動するようになりました。
このステップでは、癖が出るかもしれないパターンをいくつも想像して、それを拮抗行動でクリアしている姿をイメージトレーニングします。
事前に複数の成功パターンをイメージすることで、実際にその状況になったときに対応しやすくなります。
最後に
このように習慣逆転法をすべて行おうとすると、かなり手間がかかったり専門家に相談した方が良いこともあります。
ただ、「①悪い癖や習慣を意識する」と「②拮抗反応を利用する」だけでも効果があることを示した研究結果がたくさん出ています。
私の場合はストレスがかかると肩をすくめて力が入る癖があります。
癖が出そうな状況やタイミングになると、肩甲骨を下におろすイメージで2分間静止するようにしています。
まだ完全ではないですが、始める前に比べて体への負担がかなり軽減されています。
もしあなたにもやめたい癖や習慣がある場合は、習慣逆転法を試してみてください。
今回の記事があなたの健康のお役に立てれば幸いです。